現在ED治療薬にはバイアグラ、レビトラ、シアリスという三大ED治療薬に加えて第4のED治療薬と言われるステンドラが処方されています。ED治療薬にはそれぞれの作用や効果によって違いがありますが、今回は特にバイアグラとシアリスについてです。
バイアグラ
バイアグラ(Viagra)はアメリカのファイザー(Pfizer)社が製造販売しており、1998年にアメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)の承認を得て世界中で販売されました。日本では1999年に厚生労働省の認可の元、販売が開始されています。
バイアグラの有効成分はシルデナフィル(Sildenafil)で、当初は狭心症に対する治療薬として開発されており、治験中の被験者に勃起を促す作用があるということが分かったため適応を変え再研究され世界で初めての経口ED治療薬として誕生した経緯があります。
ファイザー社
ファイザー社はアメリカのニューヨークに本社を置く製薬会社で、2013年時に医薬品売上高1位になっている世界規模の会社です。1849年に創業され抗生物質や抗炎症剤などを次々と開発、販売することで売り上げを伸ばし巨大企業となりました。バイアグラを世界中に排出した1990年代の後は2000年に様々な企業を買収して行きますが、有名なところでカミソリで有名なシックもファイザーに買収されています。2003年には新薬を開発した有力な製薬会社ごと買収して収益を上げ、世界最大の製薬会社となりました。こうした手法をファイザーモデルと呼ばれ、当時の製薬業界再編の旗頭となりました。
シアリス
シアリス(Cialis)はアメリカのイーライリリー(Eli Lilly)社によって開発され、2002年にEUで承認を得て2004年にはアメリカで販売を開始、日本では2005年に厚生労働省へ承認申請が行われ、2007年に日本のイーライリリー社が販売し2009年には日本新薬へ販売委託をしています。
シアリスの有効成分はタダラフィル(Tadalafil)で、日本国内での適応としてはED(勃起不全)と肺動脈性肺高血圧症と前立腺肥大症に伴う排尿障害になります。これらはそれぞれ用法用量が異なり、同じ有効成分でも製品名が異なりEDにはシアリスで肺動脈性肺高血圧症にはアドシルカ、前立腺肥大に伴う排尿障害にはザルティアとされています。EDの用法は自由診療の対象となり、その他アドシルカやザルティアを処方されるには保険適応の病院での診察と処方が必要となります。
イーライリリー社
イーライリリー社は1876年に創業され、140年を超えるほどの歴史を持つアメリカのインディアナ州に本社を置く製薬会社です。世界120ヶ国以上で事業展開をしており、工場は世界に13ヶ国もある他に研究所が6ヶ国あり、グローバルな製品提供をしていると言えます。インスリン製剤を始め、抗生物質のペニシリンや循環器系薬剤など多岐にわたる製薬を研究開発し、日本では1975年に日本イーライリリー株式会社が設立されました。日本イーライリリーでも様々な治療薬を研究開発、販売をしており、抗がん剤や2型糖尿病に対する治療薬を販売しています。
バイアグラとシアリスの飲み方、服用・効果
冒頭にもある通り、ED治療薬はその作用から様々な特徴を持っているため一番効果を引き出す飲み方があります。服用時の体調や個人差もありますが、基本的にED治療薬は「空腹時」の服用が推奨されます。食事の影響が考えられているため食事は避けるべきだとされます。一部食事の影響が少ないとされていますが、そのどれもが数パーセントの差でしかなく全く影響がないわけではない為、効果を最大限に引き出すためには空腹時が一番推奨されるタイミングです。
バイアグラの場合、水かぬるま湯で服用することで約30分~1時間で効果が発現し、シアリスでは約1時間~2時間後となりますので、性行為のタイミングや予定がわかっている時点で効果の発現を考え服用することがポイントです。ピークタイム(最大薬効時間)というものがED治療薬に限らずどの薬にも存在し、体内で薬が最も作用する時間という意味でバイアグラでは服用から45分後~1時間後とされているため、効果が発現するのとほぼ同時期に一番の効果を得られているということになります。シアリスの場合だと服用から約3時間~4時間後になるため、あらかじめ予定がわかっている範疇での服用が望ましいかもしれません。
バイアグラとシアリスの効果の一番の違いは「陰茎に対する硬度」と「効果の持続時間」になります。世界初の経口ED治療薬であるバイアグラが未だに人気なのはEDになったときの硬度不足を改善し、しっかりとした硬さをもたらします。シアリスでは少しマイルドな効果になりますがバイアグラほどではないというところです。効果の持続時間はバイアグラにおいては服用から約5時間~8時間で、シアリスは約30時間~36時間となり現在のED治療薬の中でも最も長時間作用型のED治療薬であることからアメリカなどではウィークエンドピルと呼ばれて親しまれています。
ED治療薬の副作用について
バイアグラにおいてもシアリスにおいてもED治療薬では血管拡張作用があることからすべて同じような副作用が発現するとされています。これも体調や個人差によって出る出ないがありますが、頭痛やほてり、鼻づまり、動悸、下痢、消化不良などが挙げられます。いずれも重篤なものではなく、薬の効果が切れれば副作用もおさまるため過度の心配は無用です。
ED治療薬における注意
ED治療薬は基本的に1日1回と定められており、試しに低用量から服用したいと飲んで効果がなかったからすぐにもう1錠飲むことは危険です。海外でのED治療は通常、バイアグラであれば100mg錠でシアリスは20mg錠とされています。これにはそもそも、効果がないからと複数錠服用することによる危険を避けるためと、しっかりとした効果を実感してEDを改善してもらうということに起因しています。また、メーカーでの発表でも体調や食事の影響があるため効果をしっかりと実感するためには5回~6回ほど回数を重ねた方がいいとされているため、1錠2錠で効果判定をしないことです。
最近ではインターネットの普及によって掲示板や口コミサイトなどを見て判断材料に使うことができるようになりましたが、中には全く効果と関係ないものの誤解や語弊を招くことの記載があるため注意が必要です。例えばED治療薬を「興奮剤」やムラムラさせるような「催淫剤」の類として記載されていたり飲むだけで勃起するような「精力剤」などと勘違いさせるようなことが書かれているものがあります。基本的にED治療薬にはこうした効果はなく、あくまで「性的アプローチによって陰茎がスムーズに勃起するのを補助する薬」です。EDは性的興奮や性的刺激を受けても勃起しない状態や勃起しても直ぐ萎えてしまう状態なので、そもそも「興奮しない」「感じない」という状態では服用しても勃起しません。逆に服用して勃起し続けるわけでもなく、性的刺激など興奮がおさまれば勃起もおさまるので安心してください。
服用に際して、禁忌とされる病気などの疾患やED治療薬を併用できない薬が多数存在します。これらの症状や薬は個人で判断できるものではない為、インターネット通信販売などのネット通販、個人輸入代行業者を介しての個人でのED治療薬取引をするのは大変危険です。体調のことや薬のことに限らず、こうしたネット通販の中に偽造品が混入していたということがメーカーの調査によってわかっています。知らずに服用すれば思わぬ健康被害を受けかねませんので要注意です。服用できる治療薬や適性に処方される用量を知るためにも、こちらのサイトで紹介させていただいているED治療専門のクリニックや医療機関で処方されることをお勧めします。