ザルティア錠の効果と作用
ザルティア錠とは、2014年4月に販売された前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療薬です。ザルティア錠は前立腺肥大が原因による排尿障害に対する排尿障害治療を目的(前立腺肥大症に伴う排尿障害を適応)としています。
「頻尿」「残尿感」「尿に勢いがない」などの中高年に増えてくる「排尿」に関する障害に対して効果があります。ザルティア錠は尿道や膀胱、前立腺の血流を高め、筋肉を弛緩させることで作用します。前立腺は尿道を取り囲むように存在し、年齢とともに大きくなるので加齢に伴う前立腺肥大症を訴える人は増えていきます。また、前立腺が肥大すると上記のような排尿に関する症状が現れます。通常だとNO(一酸化窒素)が前立腺などの平滑筋に作用して筋肉を緩ませます。これに対し、筋肉の収縮作用を起こすのがPDE-5(ホスホジエステラーゼ5型)という酵素です。収縮されると尿道が圧迫され排尿に関する様々な症状が現れるため、ザルティア錠はPDE-5の働きを阻害することで収縮を抑え、平滑筋の弛緩を促すことができるので尿道の圧迫が解消されます。
適応症
ザルティア錠の有効成分はED治療薬の「シアリス」と同じ「タダラフィル」です。
厚生労働省はザルティア錠がシアリスと同じ成分であることを理解したうえで薬剤の承認をしています。しかしザルティア錠が健康保険適用になったとはいえ、処方に至るには初診時に尿流量測定(尿の勢いの検査)やエコー検査、前立腺がんの検査など様々な検査を行いザルティア錠の適応症の診断が下った際に処方されます。簡単に言えば、ザルティア錠は前立腺肥大症と診断されないと処方されないということです。
ザルティアとシアリスの関係
ザルティアとシアリスは主成分が同じ「タダラフィル」ですが「症状に対する適応」で処方を分けています。ED治療薬のシアリスは保険適用外ですし、前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療薬としてシアリスを保険適用できません。そのため、同成分でザルティアという名前にして「前立腺肥大症に伴う排尿障害の適応薬」として承認を受ける必要がありました。
ザルティア錠で保険適用にして安くED治療ができると思われますが、上記の理由からもザルティア錠をED治療薬として使うことは現実的ではありません。また、厚生労働省の定めによって「本剤の適用に当たっては、前立腺肥大症の診断・診療に関する国内外のガイドラインなどの最新の情報を参考に、適切な検査により診断を確定すること」とされています。「検査を行って前立腺肥大症の診断をしてからザルティア錠の処方をしなければ、保険請求は認めない」ということです。さらに、日本泌尿器科学会と日本新薬から「ザルティア錠をED治療薬として適応使用をしないように」との通達もあり、ED治療専門のクリニックや医療機関ではザルティア錠処方ではなくシアリスを処方しています。
有効成分はタダラフィル
タダラフィルはバイアグラの有効成分「シルデナフィル」やレビトラの有効成分「バルデナフィル」と同じく、PDE-5阻害薬に分類されます。当初ED治療薬として研究開発されましたが、後の研究で前立腺肥大や肺動脈高血圧症に効果があることが発見されました。ED治療としては「シアリス」前立腺肥大に対しては「ザルティア」、肺動脈高血圧症には「アドシルカ」として処方されます。
副作用と併用禁忌薬
ザルティアの主成分はタダラフィルなので副作用はシアリスと同じく頭痛や消化不良などがありますが、時間とともにおさまります。効果消失時間を過ぎても別の症状や副作用の症状がおさまらない場合は医療機関で受診してください。また、狭心症や心筋梗塞などで硝酸剤を服用している方は血圧を下げ過ぎてしまいますので処方できません。
シアリスは三大ED治療薬
欧米で「ウィークエンドピル」として親しまれているシアリスは、バイアグラ・レビトラと並ぶED治療薬の代表格です。シアリスは食事の影響を受けにくいとされていますが、ED治療薬における食事の影響の差はごくわずかであり、基本的には体調の影響や食事の影響があると考えて間違いありません。焼き肉やオリーブオイルを使ったパスタみられる油分の多い食事、過度の飲酒は十分な効果が期待できないのでED治療薬は全般的に空腹時に服用することが正しいでしょう。シアリスの場合、性行為の約1~2時間前に服用すると30~36時間効果が持続します。効果のピークは服用後の3~4時間です。副作用として現れる頭痛に対してはロキソニンなどの鎮痛剤を併用しても大丈夫です。
ED治療なら専門のクリニックや医療機関へ
インターネット通販などでシアリスなどのタダラフィルを主成分とする薬剤や、ED治療薬を販売している業者がありますが、流通経路が確立されてない為になかには有効成分が含まれていなかったり不純物が混入している場合があります。偽造品や模造品を避けるためにも、ED治療専門のクリニックや医療機関では専門のネットワークとしっかりとした検査があり、問題なく安心して服用できることが確認されているため個人での判断によらず、受診・処方されることをお勧めします。